サッカー日本代表は今月、ドイツへと遠征する。現地で対戦する予定のドイツ代表とは、昨年のワールドカップでも顔を合わせた。最近はドイツでプレーする日本人選手も多い。その両国の絆をサッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■世界への初挑戦
日本のサッカーが初めて世界に挑戦したのも、1936年にドイツの首都ベルリンで開催された第11回夏季オリンピックでのことだった。
1920年代までは、日本のサッカー界の目標は「極東選手権」(陸上、水泳、テニスなどを行う総合競技大会)で中国(香港)やフィリピンに勝つことだった。しかし、日本が中国東北部に作った傀儡国家「満洲国」の参加問題がこじれて同大会は消滅。いよいよ、日本は世界大会に進出することになる。
すでにFIFAに加盟していた日本は1930年の第1回ワールドカップにも出場する権利を持っていたはずだが、サッカー単独でウルグアイまで遠征するのはとうてい不可能だった。だが、オリンピックなら政府の援助を受けられる。
こうしてオリンピック参加を目指した日本だったが、1932年のロサンゼルス大会ではプロ・アマ問題を巡ってサッカーは実施されなかった(当時の北米大陸は、「サッカー不毛の地」でもあった)。
つまり、ベルリンが日本サッカーにとっての“世界大会への初挑戦”の舞台となったのはそんな偶然の積み重なりだった。