■再び世界一になるために
「独立系」の女子クラブではだめだというのではない。初代WEリーグチャンピオンとなったINAC神戸レオネッサを筆頭に、こうしたクラブの努力がこれまでの日本の女子サッカーを支えてきたのは間違いない。ただ、Jリーグクラブという日本のサッカーの「資源の宝庫」が女子サッカーに背を向けている現状では、急成長しつつある欧州に対抗するのは難しい。
Jリーグの60クラブは、全国全47都道府県中、41都道府県に広がっている。そのすべてのクラブが女子チームをもち、真剣に育成と強化に努めたら、各都道府県の女子のサッカーの中心的存在となり、才能のある少女たちを引きつけ、成長させることができるだろう。さらに、資金力のあるJ1の「ビッグクラブ」が、クラブが培ってきた強化のノウハウを注ぎ込んだら、WEリーグやなでしこリーグのレベルが飛躍的に上がり、結果としてなでしこジャパンの力が上がるのは間違いない。
Jリーグは、間違いなく日本のサッカーをリードする存在である。その責任は、男子サッカーにとどまらず、女子サッカーにも及んでいるのではないか。Jリーグは、女子チームの保持を一日も早く必須条件とすべきだ。Jリーグはその経営手法を欧州のビッグリーグやビッグクラブから学ぼうとしているようだが、女子サッカーに限っては無視するのだろうか。
世界を相手にしたなでしこジャパンの躍動するような攻守と「なでしこらしい」試合態度を見ながら、このチームが再び世界一になるには何が必要かと考えた末の結論は、女子サッカーへの「Jリーグの全面的なコミットメント」だった。