■ライセンス交付における位置づけ

 なぜこのようなことになっているのか。Jリーグでは、クラブに女子チームの保持を義務付けられていないからだ。Jリーグには「クラブライセンス制度」があり、さまざまな面でJリーグのクラブと認められるための条件が明記されている。その中の一項目として「女子チーム」(「Jリーグクラブライセンス交付規則」第33条(2)S.09)として下記のように書かれている。

 「ライセンス申請者(筆者注:Jリーグで活動することを希望するクラブ)は、女子チームを少なくとも1チーム保有するか、あるいはライセンス申請者と関連する法人内に置かなければならない。なお、当該女子チームは、国、地域、または現地レベルの公式競技会に参加する義務があり、AFC(筆者注:アジアサッカー連盟)加盟協会に認められる必要がある。当該女子チームにおいて、サッカーの楽しさを提供し、他の女子チームとプレーする経験を得る機会を与えるために適切なイベント(スクール、クリニック、ミニトーナメント、地域レベルでのユース集会、等)を開催することが望ましい」

 ところが、この条項は「ライセンス基準」のなかで「C等級」とされているのである。

 「C等級基準は、ライセンス申請者による達成が推奨されるものであり、将来において、達成が必須のものと改められる可能性があるものである。ライセンス申請者によるC等級基準の未充足は、当該ライセンス申請者に対するJライセンス交付拒絶事由を構成するものではなく、また、当該ライセンス申請者に対して本交付規則第8条に定める制裁が科されるものではない」(上記規則第7条(2)③)

 平たく言えば、女子チームをもっていなくてもクラブライセンスは交付されるし、制裁も受けないというのである。

 現在の日本では、トレーニングのための施設も、サッカーのクラブや試合を運営するノウハウも、スポンサーを獲得する営業能力も、そして何より人的なリソースも、すべてJリーグのクラブに集中している。日本の女子サッカーの発展のためには、もっと狭く言えばあのスウェーデンに勝ち、準決勝へ、決勝へ、そして優勝へと勝ち上がっていくには、Jリーグの力が不可欠なのだ。

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