女子ワールドカップが閉幕した。スペイン代表が初優勝を果たす一方で、日本代表はベスト8で進撃がストップした。大会を通じて見えてきた、なでしこジャパンの「世界一奪還」への道のりを、サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。
■選手を伸ばす国内環境
なでしこジャパンの課題がインテンシティであるのは明らかだ。インテンシティの高い試合での判断の速さを磨くことだ。欧州のクラブでプレーする選手が増えていかなければならないかもしれない。しかしそれ以上に、WEリーグのサッカーのインテンシティを上げ、その環境で選手が伸びるようにしなければならない。
同時に、根本的には、Jリーグの関与が不可欠だと、私は考えている。今季のWEリーグ12チームのうち、Jリーグ・クラブが運営するのは8チーム(浦和、大宮、千葉、東京V、長野、新潟、広島、C大阪)、他4チームは「独立した女子クラブ」である。マイナビ仙台レディースは以前はJリーグの仙台のチームだったが、WEリーグ加入を前に独立した。
その下の全国リーグである「なでしこリーグ」を見ると、1部と2部を合わせた22チームのうち、Jリーグクラブが運営するのは2チーム(横浜FC、愛媛)に過ぎない。他はすべて「独立系」なのである。
現在、JリーグにはJ1からJ3まで60のクラブがある。女子の全国リーグにはいるチームをもっているのは、その6分の1しかないということになる。しかも10クラブの内訳は、J1が5クラブ(浦和、新潟、広島、C大阪、横浜FC)、J2が3クラブ(東京V、千葉、大宮)、J3が2クラブ(愛媛、長野)と、豊かな資金力をもつクラブに限られてはいないのである。