■なでしこが敗れた理由
グループステージで3連勝を飾り、なかでもフルメンバーに近い布陣を並べたスペインに4-0で完勝し、ラウンド16のノルウェーも下して「優勝候補」の呼び声が高くなったなでしこジャパンだったが、準々決勝のスウェーデン戦は終盤まで主導権をつかむことができず、1-2で敗れた。
「なぜ前半からもっと積極的に戦わなかったのか」という意見も聞いた。しかし私の見たところ、なでしこジャパンはいつものようにパスをつないでサイドを切り崩そうとしたのだが、それをさせてもらえなかったのだ。スウェーデンは、おそらくこれまでで最高レベルと思われるハイインテンシティのサッカーを見せ、日本がボールをもつたびに素早く、そして激しく体を寄せた。その結果、なでしこジャパンはプレーをさせてもらえなかった。
それまでの4試合で十分以上に証明されたように、不足していたのはフィジカル面での能力や準備ではない。もちろん技術ではない。足りなかったのは、スウェーデンのインテンシティの高いサッカーに対応する判断の速さだった。この試合では、なでしこジャパンは分断され、個々が孤立した。ボールを奪った後に、それを攻撃に結びつけるだけでなく、保持するためのポジションをとれないまま体を寄せられて奪われた。
判断の速さがあればワンタッチプレーなどで相手のハイプレスを切り抜け、得意の攻撃にもっていくことができたはずなのだが、相手が疲労し尽くした終盤に至るまでそうしたプレーを出すことができなかったのである。