女子ワールドカップが閉幕した。スペイン代表が初優勝を果たす一方で、日本代表はベスト8で進撃がストップした。大会を通じて見えてきた、なでしこジャパンの「世界一奪還」への道のりを、サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。
■見応えあった決勝
オーストラリアとニュージーランドを舞台に開催されていたFIFA女子ワールドカップ。1991年に第1回大会が開催されてから32年、初めて南半球で開催された第9回大会は、「女子サッカー」が完全に新しい時代にはいったことを世界に示す大会となった。
決勝戦はスペイン対イングランド。素早い動きでボールを支配したスペインは、前半29分に左サイドに振られたボールを受けたFWマリオナ・カルデンテイがオーバーラップした左サイドバックのオルガ・カルモナをタイミングよく使い、カルモナの見事なシュートが決まってこれが決勝点となった。
ボール支配率は、スペイン47%、イングランド37%(中立が16%)。シュート数は、スペインが14本(うち枠内シュート5本)、イングランドが7本(3本)、ブロックされたシュートは、スペインが5本、イングランドが1本。形勢としてはスペインが優勢に進めたのは間違いない。スペインには1本のPK失敗もあった。
しかし試合としては、どちらが勝ってもおかしくないものだった。スペインはパスワーク、イングランドはスピードと、ともに長所を生かしたゲームを展開し、一進一退の好ゲーム。イングランドが右奥に送ったロングパスから波状攻撃をかけ、FWローレン・ヘンプの放った左足シュートがスペイン・ゴールのバーを直撃したのは前半16分のことだった。