■「テレビに買われた」FIFA

 ワールドカップ・カタール大会で1日に4つもの「時間帯」が使われたのも、まさにテレビのためだった。ワールドカップの放映権は、1974年西ドイツ大会までは開催国の組織委員会が販売していたが、1978年から主催の国際サッカー連盟(FIFA)が販売するようになり、できるだけたくさんの人にただで見てもらおうと、世界の「公共放送連合(日本ではNHK)」と契約した。

 しかし2002年日本/韓国大会以降はエージェントに売り、放映権料は10倍以上に跳ね上がり、結果として有料放送での放映が増えた。そしていまでは、FIFAの財政は、4年にいちどのワールドカップの放映権料を中心に回っている。すなわち、ワールドカップだけでなくFIFAも「テレビに買われた」のである。

 放映権料を買ったテレビ局はできるだけたくさんの試合を生中継したい。だからグループステージの3ラウンド目を除き、すべての試合をその時間には1試合だけのものとしたのだ。その結果が、カタール大会の午後1時、午後4時、午後7時、そして午後10時という、クレージーな時間帯になったのである。

(4)へ続く
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