■「子供のうちから調子に乗れないのは、本当にゆがんだ社会」

 同大会のルールは10分1本勝負、交代は自由、ショットクロック20秒、GKはフィールドの一員として攻撃に参加できるというシンプルなもの。8月から予選ラウンドが始まり、決勝は12月26日。優勝チームは本田率いるスペシャルプロチームと対戦するスペシャルマッチ挑戦権を得ることになっている。

「今の子供たちは、試合でどう戦うかを考えることに慣れていない。前から行くか、引くか、GKが上がるか上がらないかといった判断をどうするかを見ているだけで新鮮でした」

 本田はこう話したが、監督やコーチが言ったことを忠実に実践するだけの選手が年々、増えている印象は確かに否めない。それが日本社会全体の傾向とも言えるのではないか。

 批判を恐れずに自分の考えを主張し、前へ突き進む男には、そういった現状がどうしても納得いかないのだろう。

「夢を持つというのは、物凄くワクワクすることですよね。今の自分が到達できないものを目指すというワクワク感をなぜ放棄してしまうのか。自分には全く理解できないんです。

 サッカーを諦めてもいいし、その時は違う夢を持ったらいいだけの話なのに、それもやらない。目先のお金が大事だからお金を稼ぐというのもいいけど、それをやりながら夢を持ってもいいわけですよね。それもやらないのはやっぱり理解できないですね。

 子供は純粋なので、機会さえ与えれば誰かに憧れる。成功体験さえ提供すれば、いい意味で勘違いするんです。子供のうちから調子に乗れないのは、本当にゆがんだ社会。この大会を通して本気でチャレンジしてくれる人が1人でも増えればいいと思ってます」

 久しぶりの本田節は強烈だった。大会を通してこのメッセージがどこまで届くのか。日本サッカー界や日本社会にどんな変革をもたらすのか。まずはそこに注目したい。

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