■サッカーは大衆のもの

 ところがことし3月にIFABが発行した「簡易版」は、大きく「FOOTBALL RULES」と太文字で書かれている。正式には「Laws of the Game」であっても、英国をはじめとした現代の英語圏でも日常的には「Rule」が使われている証拠と言える。

 日本でも、「競技規則」という正式名称を使うのは、審判委員会と上級のレフェリーぐらいだろう。ファンだけでなく、選手も監督も、サッカーにかかわる誰もが「ルール」という言葉を使っている。スポーツの規則は「ルール」だからである。もちろん、「サッカーの法律」とは、誰も呼ばない。

 世の中には、現実と正式名称がかけ離れてしまっている例はたくさんある。だがサッカーは世界の大衆のものであり、当然のことながら、大衆の言葉で語られなければならない。今回IFABが出した「FOOTBALL RULES~Simplified Laws of the Game」から何年か後にサブタイトルが取られ、正式な「ルールブック」になっていっても、私は驚きはしないだろう。

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