遠野大弥が自らの決定的な場面を振り返ってくれた。国立競技場で、5月12日行われたJ1第13節。FC東京との多摩川クラシコでの決定機で、1点ビハインドの79分のことだった。
「タクマくん(大南拓磨)からいいボールが来て、自分の得意の、シュートの形だったんですけど。入ったかなとは思ったんですけど、それは相手を褒めるしかないですね」
大南からのパスを胸トラップで完璧にコントロールした遠野は、落ち際のボールを左足で強振。抑えの効いた、コースを狙ったシュートが枠内に飛んだが、これはヤクブ・スウォビィクのファインセーブに阻まれてゴールならず。こぼれ球に詰めた山根視来のシュートは枠には飛ばせなかった。
この場面、遠野はゴロの選択肢も良かったかもしれないと、悔しそう。
「ゴロで通せたのかなと思いますし、振り返れば、もう、すごい課題があります」
それでも、ボレーを選んだ理由は、なんだったのか。
「やっぱ後ろから(DFが)来てたんで、やっぱそこを待ってたら、やっぱ足、突かれたかなと思ってああいう形にしたんですけど、ナイスキーパーでした」
遠野には背後から長友佑都が全力疾走で戻っており、時間的な余裕はなかった。ワンバウンドさせたり、ボールをコントロールしようとしていたら、長友にボールを突かれていた可能性が高い。そんなことを瞬時に考え、選んだボレーだった。そして、選んで狙った通りのシュートを打てた以上、相手を褒めるしかない、という決定機だった。