後藤健生の「蹴球放浪記」第159回「大型蒸気機関車が保存されたモスクワの鉄道博物館」の巻(1)日本を凌駕するロシアの鉄道博物館の画像
鉄道博物館の入場券 提供/後藤健生

 取材の間の移動も愛する蹴球放浪家・後藤健生は、世界各国の交通機関のチェックも怠らない。時には、驚くような鉄道文化に触れることもある。2018年のワールドカップで出会ったロシアの鉄道文化は、サッカーへの影響も考えさせるものだった。

■ロシアW杯の思い出

 2018年のFIFAワールドカップはロシアで開かれました。僕はモスクワ市内の古いアパートの一室を借りて約1か月を過ごしました。1960年代から70年代頃に建設された建物のようでした。

 場所は市内北部のボリシャヤ・アカデミチェスカヤ通り。出かけるときはアパートに目の前にあるバス停からバスに乗って地下鉄2号線のヴォイコフスカヤ駅を利用。メイン・スタジアムであるルジニキに行くときは、別のバスに乗って14号線のパンフィロフスカヤ駅を利用します。

 14号線はモスクワ地下鉄の一部なのですが、「モスクワ中央環状線(MCC)」と呼ばれ、ロシア全土に路線を持つ「ロシア鉄道」が運営しているので車両などは他の地下鉄路線とは異なります。もともとは貨物専用線だったロシア鉄道の線路を旅客用に利用したものだそうです。

 モスクワ地下鉄はソビエト連邦(ソ連)時代の1935年に開業したもの。「地下宮殿」とも呼ばれる豪華な駅で有名ですが、非常に短い間隔で運行されているのに驚かされました。ラッシュ時には1分半に1本くらいで地下鉄を走らせているのです。だから、階段を駆け下りるのが間に合わずに乗りそこねても、すぐに次の電車が来るので安心です。

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