■インドと中国の攻勢は?

 これから新たに大きな動きが予想されるもうひとつの国がインドだ。中国(14億4850万人=2022年)に迫る14億660万人(同)の人口をもつ「超大国」だが、従来サッカーはコルカタなど限られた都市でしか人気がなく、代表チームも奮わなかった。しかし急成長する経済のなか、サッカーへの投資も始まろうとしている。

 インドはことしFIFAのU-17女子ワールドカップを開催する。2017年に開催された男子のU-17ワールドカップに次ぐもので、インドからのFIFAへの急接近を物語っている。実は、昨年のワールドカップでサウジアラビアに次いで国外からの観戦客が多かったのがインドだった。

 もちろん、コロナ禍で大きく停滞した中国も、国内クラブへの投資が制限されているものの、ワールドカップ出場枠の拡大にともなって出場権獲得のチャンスが生まれ、再びサッカー熱が加速することが期待されている。合わせて30億人近くの人口をもつインドと中国はFIFAにとって非常に大きな魅力をもつマーケットであり、両国への肩入れは今後さらに続くはずだ。

 競技面では日本と韓国がしのぎを削り、そこにオーストラリアとサウジアラビアも加わって世界の舞台で上位を目指そうという状況が、昨年のワールドカップではっきり見えた。しかし政治やマーケティングなど競技外の側面を見れば、アジアのサッカーはまったく違った横顔を見せる。日本サッカー協会は「2050年までに再度ワールドカップを開催し、世界チャンピオンになる」という目標を掲げているが、大きく変貌しつつある状況のなかで、しっかりと先を見据えて地に足のついた活動を模索していかなければならない。

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