■得失点差+26に挑む

 予選大会には地元の台湾(チャイニーズタイペイ)のほか、北朝鮮、香港、モンゴル、グアムの4か“国”が出場。もちろん、本命は北朝鮮と香港で、両“国”の対戦は最終日に組まれていました。

 大会4日目、2005年3月11日の第1試合で、香港は台湾に5対0で快勝しました。3戦全勝の勝点9。この時点で得失点差はなんと+26でした。グアムを相手に15対0で勝利していたからです。

 そして、3月11日の第2試合は北朝鮮対グアム。最終日の香港との直接対決を前に、北朝鮮としては得失点差で香港を上回るために19点差以上が必要だったのです。

 そして、前半の7分に漢成哲(ハン・ソンチョル)からのロングボールを受けたエースの洪映早(ホン・ヨンジョ)が先制ゴールを決めると、前半だけで10ゴール。90+1分に姜珍革(カン・ジンチョル)が21点目を決め、北朝鮮は得失点差で香港を上回ることに成功しました(北朝鮮は最終日の直接対決で勝利したので、得失点差は関係なかったのですが……)。

 しかし、90分間で21点を取るというのは、いくら戦力の差があったとしてもかなり難しいことです。

 7人で固めるグアムの分厚い守備網を破って得点すると、すぐにボールを拾ってセンターサークルまで持ち帰って、グアムにキックオフを促す……。そういう作業を90分間繰り返すのです(まさに「作業」という言葉がぴったりでした)。

 ちなみに、第1試合のときには約2000人の観客がいましたが、第2試合の観客は約100人でした(僕が目視で数えた数字です)。

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