サッカーが「ビデオ判定」に消極的だった理由【サッカーとテクノロジーの正しい付き合い方を考える】(4)の画像
結局、スポーツをするのは人間であり、VARを活用するのも人間だ 撮影:原悦生(SONY α9Ⅱ使用)
 テクノロジーは、人間の生活に不可欠なものになっている。サッカーも、その例に漏れない。日常生活でもサッカーでも、大事なのはテクノロジーといかにうまく付き合うかである。正しい共存の方法を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■変化の少なかったサッカーのルール

 2000年代の後半頃になると、多くの競技でビデオ判定が使われるようになった。

 プロテニスで「ホークアイ」が初めて使用されたのは2006年のこと。

 アメリカのプロ・スポーツでも相次いで導入され、2008年にはMLB(メジャーリーグ・ベースボール)でも導入され、これによって4大プロ・スポーツのすべてでビデオ判定が使われるようになった(日本のプロ野球では2010年から)。

 だが、サッカーではビデオ判定の導入に消極的で、VARの正式導入は2018年のロシア・ワールドカップまで待たなければならなかった。

 サッカーが消極的だった理由の一つは、サッカーは他のスポーツに比べてルールの変更が少ないのが特徴であり、それも魅力の一つだったということもある。

 ラグビーでは、たとえば昔はトライには3点、トライ後のコンバージョン(ゴール)にはさらに2点が与えられたものだったが、現在はトライが5点、コンバージョンが2点と変わるなど、毎シーズンのように大きなルール変更が行われる。

 それに対して、サッカーのルールは1880年代の後半までにほとんど完成しており、その後は1925年のオフサイド・ルールの改定を除いて、「マイナーな変更」しか行われなかった。

 審判法について保守的だったのも、このことと関係があると考えるべきだろう。

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