優勝奪還を目指す2023年シーズンを前に、川崎フロンターレは期待の新戦力を迎えた。その選手たちの特徴や素顔を、沖縄キャンプや麻生グラウンドなどでの取材を通して紹介する。第2弾は、京都から完全移籍してきた上福元直人だ。
寒いかもしれないし、暑いかもしれない――南国の不安定な気候に慣れない筆者が悩んだ結果に選択したその間の中途半端な服装は、レンタカーからピッチに移動しただけで失敗したなと思うほど、陽気な気候だった。2022年1月31日、沖縄県南風原町の黄金森公園陸上競技場。鮮やかな青空の下にある緑色のピッチの上で、赤いトレーニングウェアと白いトレーニングウェアがぶつかった。
白いトレーニングウェアを着た川崎フロンターレはこれが沖縄キャンプ2度目の対外練習試合で、3本中の1本の最後尾で、絶え間なく声を出していたのが上福元だった。
コーチングの重要性は説明するまでもないが、上福元は絶え間なくと言っていいほどに声を発した。しかも、それはただチームを鼓舞するためのものではなく、短く的確にまとまった指示や提案で、フィールド上の選手の選択肢を助けるようなものだった。暑さの中で常に声を出し続けることは、けっして簡単なことではない。それでも45分間、その声はピッチに響き渡った。
この試合は川崎が終始ボールを握る展開だったため、上福元としてはアピールできる場面は多くなかった。それでも、その存在感を示すには十分だったと言える。