■拮抗の打開の難しさ
こういう展開が続くと、なかなか打開が難しくなってしまう。
相手にリードされたのであれば、思い切って選手交代を使ったり、システム変更をしたりすることもできるが、膠着状態に陥ってしまうと動きづらくなってしまうことが往々にしてある。
均衡が取れた内容では、ちょっとした変化で流れが悪くなってしまうかもしれないからだ。
カタール・ワールドカップでも、同点のまま推移するとなかなか打開できなくなる試合が多かった。日本とクロアチアのラウンド16の戦いでも、クロアチアは日本の良さを消しながら慎重に戦って、PK戦に持ち込んだ。決勝戦のアルゼンチン対フランス戦では延長戦で1点ずつを取り合ったが、他の試合では、延長戦ではどちらも得点できずに終了している。
こうした膠着状態の試合では、偶然が試合の流れが変わることもある。最も極端な場合は、どちらかのチームに退場者が出て10人になって流れが変わることもあるし、まったくの偶然の(事故のような)ゴールが流れを変えるきっかけになることも多い。
だが、最も望ましいのは、どちらかのチームの選手のアイディアや頑張りが試合の流れを変えることだ。
そして、ベレーザは実際に選手たちの力で流れを変える先制点を生み出した。
それが、前半39分に植木理子の先制ゴールだった。