後藤健生の「蹴球放浪記」第144回「両替所が見つからなかったサンチャゴの空港」の巻(2)警官と一緒に入国審査を逆走突破の画像
チリの入国スタンプ。よく見ると、上部にコンドルの絵! 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、ベテランの放浪家である。だが、物事には必ず最初がある。1978年のアルゼンチン・ワールドカップ。初めて渡った南米大陸では、さまざまな困難が待ち受けていた。

■美しい景色

 アントファガスタは港町ですから、標高はほぼゼロ・メートル。ペルー、ボリビア滞在中にずっと悩まされ続けていた高山病(風邪のような症状)は、ホテルに着いた頃には嘘のように治っていました。

 さて、8時半に航空会社のバスが迎えに来て再び空港に向かいました。

 ご承知のように、チリという国はアンデス山脈と太平洋に挟まれた南北に細長い国です。窓の外にはアンデスの峰々が迫って見えます。

 機内では美味しいチリのワインを飲みながら、そのアンデスの景色に見とれていました。サンチャゴ到着の直前に見えた高い山が、南米大陸の最高峰アコンカグア(標高6961メートル)でした。アコンカグアは、もうアルゼンチン領。山脈の向こう側には、ワールドカップの開催都市の一つとなっているメンドーサの街があるはずです。

 そんな素晴らしい景色を眺めながら、飛行機はサンチャゴの国際空港に到着しました。アントファガスタからは約1000キロ。約1時間のフライトでした

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