■頼もしい警察官

 悩んでいると、警察所が見えたので相談に行ってみました。中には2、3人の警官がいました。

「これこれ、こういうわけで両替ができなかったんだけど、なんとかできませんかねぇ?」

 警官たちが相談しています。そして、1人が「よっしゃ、俺についてこい」と言って立ち上がりました。

 そして、出口から入って税関検査所と入国審査のカウンターを逆走して突破。両替所の前まで連れて行ってくれたのです。

 物価水準もよく分からないので、とりあえず、100ドル(当時のレートは1米ドル=約200円)を3150ペソに両替しました。そして、警官は僕が両替が終わるのを待って、再び入国審査と税関検査を突破して出口まで連れてきてくれたのです。

 こうしてようやく辿り着いたサンチャゴの街。白人が多く、ヨーロッパ風の建物が並ぶ美しい街でした。「チリは美女が多い」と言われていて期待していたのですが、この点は「そうかなぁ?」といった感じでしたが、周囲の雪に覆われた山々がとても美しかったのを記憶しています。ナショナル・スタジアムでリーグ戦を観戦したエピソードは、『蹴球放浪記』第86回「アジェンデ政権の夢の跡」の巻ですでにご紹介しましたね。

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