■新登場する「SAOT」

 そして今回の「オフサイド半自動判定」である。英語では「Semi―Automated Offside Technology」。何でも略称にしてしまうFIFAだから「SAOT」とでも言いそうなものだが、まだそうした表現は聞かない。

 専用の12台のカメラを使い、選手の正確な位置を1人につき29もの体の部位で、しかも1秒間に50回も測定し、同時に、発信機を仕込んだボールの位置とキックなどの衝撃を与えられた瞬間を、こちらは1秒間に500回も測定する。この2つを組み合わせることで、オフサイドかどうかが、ほんの数秒で判明するという。

 これまでのVARでは、映像をコマ送りしながらキックの瞬間を特定し、その瞬間の映像にオペレーターが線を引く形だった、その作業には平均70秒もの時間を要していた。それがいわば瞬時に行われるという、驚くべきシステムなのである。

 これによって、得点が決まった瞬間に、少なくともオフサイドだったかどうかというチェックは、まったく時間がかからなくなる。おまけに、上記のデータを使い、時を置かずに3Dアニメーションが作られ、場内の大型スクリーンやテレビ中継に流されるという。

 GLTからVAR、さらに「SAOT」へと、サッカーの判定テクノロジーは三段跳びのように飛躍した。ではその次は? 2026年にアメリカ、カナダ、メキシコの3か国で行われる大会では、もしかしたら副審はいなくなるかもしれない。

 少なくとも、オフサイドもタッチアウトもテクノロジーが担当し、副審はタッチライン沿いに機械のように走ることなど求められず、かつての「追加副審」のようにプレーをみやすいところにゆっくり移動すればいいようになるのではないか。もちろん、もうフラッグなど持つ必要はない。

 カタール対エクアドルの開幕戦で、後藤さんは「SAOT」をどう見るのだろうか―。

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