■J1復帰でも「まだ2試合ある」
新潟は30節の徳島ヴォルティス戦を最後に、9試合連続で複数失点を許していない。2対0は彼らにとってセーフティリードと言うこともできたはずだが、攻撃の手を緩めない。後半アディショナルタイムに決定的な3点目を奪う。カウンターからFWアレクサンドレ・ゲデスが持ち出し、MF秋山裕紀、松田詠太郎の3人で相手守備陣を翻弄する。最後は松田のアシストからゲデスが難なくプッシュした。
仙台のキックオフで再開された直後、試合終了のホイッスルが鳴り響く。オレンジ色に染まったホームのファン・サポーターから、歓声と拍手が降り注がれる。3万人を超える観衆が作り出す熱には、声にはならない思いもあっただろう。キャプテンで左SBの堀米悠斗の涙に、感情を揺さぶられた観客もいたに違いない。J1復帰を信じてきたたくさんの思いが折り重なり、松橋力蔵監督のチームは2試合を残して2位以内を確定させた。
「まだそこまでの実感が、グッとわいていないのも事実ではありますけど、ホントに大きなことを成し遂げたのは確かだと思います。ただ、まだ残り2試合あるというのが僕のなかにも、選手のなかにもありますので、喜ぶときにはしっかり喜んで、しっかり切り替えてまた次の試合に挑みたいなというのがいまの気持ちです」
試合後の松橋監督は、いつもどおりに落ち着いた表情で話した。J1復帰という大きな成果をあげた直後でも残り試合に視線を向けるのは、目前の試合に集中してきた今シーズンのスタンスそのものだ。J1復帰はあくまでも通過点であり、次節の東京ヴェルディ戦から新潟は新たな一歩を踏み出すのだろう。