■WEリーグが抱える問題

 WEリーグの「WE」は「Wemen Empоwerment」の略。「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」という理念が掲げられたリーグだ。

 その理念自体はもちろん大事なもので、日本の女子スポーツの将来を考えれば意義深いものだ。

 だが、これまでのWEリーグは「理念先行」の感が強かった。

 もちろん、理念は大事だが、同時に競技レベルの向上。そして、リーグ戦の人気向上=認知度アップ。さらには観客動員の拡大などが急務のはずである。

 こうした努力によって、財政的に豊かになってクラブ経営を安定化させることができなくては、理念を実現することもできない。

 たとえば、試合数の増加などはそうした意味でも必要なことなのではないか。認知度を上げるためには、長期のウィンターブレークをどうやって乗り切るかも問題になる。リーグ初年度を見ると、ウィンターブレークが長くなってしまったためにリーグ戦に対する興味が持続できず、後期には観客動員が減少してしまったという印象が残る。

 9月には、WEリーグ立ち上げの大仕事を成し遂げた岡島喜久子代表理事(チェア)が退任し、2代目チェアとして高田春奈氏が就任した。高田氏は、ジャパネットたかた創業者の高田明氏の長女で、ジャパネットホールディングス代表取締役等を務めた実業家であり、明氏の後継者としてV・ファーレン長崎代表取締役社長としてクラブ経営も経験している。

「理念先行」から「実務優先」に路線を切り替えて、より認知度の高いリーグ。戦力の充実を目指してもらいたいものだ。

(3)へ続く
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