■“紙”幣への挑戦
プラスティック製の入場券は、いずれは世界中に普及していくのかと思いましたが、その後、僕が知っている限りでは採用された大会はないようです。
そして、今、入場券そのものが消滅していく運命にあるというわけです。ワシントン条約附属議定書に掲載されている、このままではあのレアと同じく入場券も絶滅危惧種になってしまいそうです。
さて、このプラスティック製入場券は紙幣製造技術を応用したものでした。
紙幣(つまり、お札。銀行券)は、長く紙で造られてきました(だから、「“紙”幣」というわけです)。日本の紙幣(日本銀行券)は、コウゾやミツマタといった植物を使った丈夫な和紙で造られていますが、最近はそうした原料も輸入に頼らざるを得ないそうです。
一方で、いつの世にも偽造紙幣というものが出回わります。カラーコピー機で作った粗雑なものから、国家が敵対国の紙幣を偽造するハイレベルなものまで千差万別です。
そこで、紙の紙幣よりも偽造が難しいプラスティック製の紙幣が考案されたのです(「紙幣」というのはおかしいですね。「プラ幣」とでも言う方がいいかもしれません)。
しかし、精密な印刷が難しかったためなかなか実用化には至らず、初めて実用化されたのは1988年にオーストラリアで発行された10ドル札でした。