■なかなか増えなかった交代要員

 Jリーグが始まった1993年には、交代は2人、交代要員は5人だった。ところが1994年にGKに限って3人目の交代が認められるようになり、1995年にはポジションに関係なく3人までの交代が許されるようになった。2人交代なら交代要員は5人でいいが、3人代えられるとなると5人では少し困る。

 交代要員が5人だと、GK1人は必須で、他にもセンターバックとサイドバックの控えは入れておきたい。攻撃的な選手は2人だけとなる。たとえば1点をリードされた終盤に攻撃を強化しようとしたとき、3人目の交代でもうひとりアタッカーを入れようと思っても、ベンチにはセンターバックとサイドバックしかいないという状況なのだ。

 ところがJリーグはなかなか交代要員を増やそうとしなかった。ひとつには、遠征費の増加、出場給の増加など、クラブの負担が増えることで反対意見が多かったのだろう。だが私は、「ベンチは急には増やせない」という物理的な問題があったのではないかと勘繰っている。

 Jリーグのスタジアムではベンチはしっかり屋根がかかったものになっていて、「あと2席増やして」とは簡単にいかなかったのだ。1993年のリーグスタートに向け、スタジアムを所有する自治体には少なくない額を投入して施設整備を行ってもらった。それからわずか数年で、さらなる負担などお願いできない―。

 Jリーグがベンチ入りする交代要員の数を7人にしたのは、驚くべきことに、3人交代制になってから実に11年後、2006年のシーズンからだった。ことしまた、交代可能数が正式に5人となって、本来なら9人にしなければならないのに、7人のままという現実がある。9人になるのは、11年後、2033年になるのだろうか。

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