名将オシムと「絶対王者」川崎フロンターレから学ぶべきチームづくり【FC東京とアルベル監督が挑む「壁」】(3)の画像
アルベル監督の挑戦は続く 撮影/原壮史

 FC東京は今シーズン、新たな挑戦を試みている。アルベル・プッチ監督の下、これまでと大きく異なるスタイルのサッカーに取り組んでいるのだ。挑戦の度合いに応じて大きくなる「壁」へと挑むFC東京を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■オシムの「仲介者」たち

 イビチャ・オシム監督は、2006年のドイツ・ワールドカップ終了後に日本代表監督に就任した。

 もちろん、日本代表にも新しいコンセプトのサッカーを確立すべく、オシム監督はトレーニングに工夫を凝らした。しかし、代表チームというのはトレーニングのためにそれほど長い時間を使うことができない。そのため、オシム監督が採ったのが、「オシムのサッカー」をよく理解しているジェフユナイテッド市原・千葉の選手たちを代表に招集するという方法だった。

 たとえば、有名な何色ものビブスを使ったあの有名なトレーニング。その練習は複雑なそのルールを理解することも難しかった。そして、そのトレーニングを通じて監督が何を求めているのかも分からない。そこで、オシムのトレーニングに慣れている市原の選手たちがいれば、選手を通じてオシムのやり方がチームに浸透していくのだ。

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