■4-3-3ではなく4-4-2でスタート

 この試合で、FC東京は“奇襲”を仕掛けてきた。今期のメインシステムである4-3-3ではなく、渡辺凌磨と松木玖生をサイドハーフに置き、ブラジル人2トップを用いた4-4-2で試合をスタートさせたのだ。それでも、浦和イレブンは序盤から攻撃のリズムを掴むと、31分にダヴィド・モーベルグによって先制。敵将アルベル監督の出鼻をくじいてみせた。

 しかし、ここからがやや厄介ではあった。FC東京は1点ビハインドにもかかわらず、ブロックを作ってホームチームと対峙したのだ。浦和が攻めあぐねている中で隙を突いてカウンターで得点を奪おうというものだった。実際、ボールを握りながらも失点をした場面はこれまで何度もある。FC東京も、レアンドロの巧みな持ち出しから機会をうかがった。だからこそ、浦和は追加点が欲しかった。

 伊藤の追加点は、相手守備陣を崩したものではなかった。その直前、右サイドを攻略しようと人数をかけていたが、それがかなわず左に回そうとしたボールが伊藤に回ってきた。このボランチの前には、白いユニフォームを着た相手選手が何人もいた。それでも、伊藤は左足を振りぬいた。必ずしも崩し切る必要がないことが示されたのだ。苦しんだ試合が多かったリカルド・レッズにとって、勝ち方の一つの「解」を見つけた瞬間でもあった。

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