【9・23親善試合】1950年に起こしたワールドカップ史上最大のジャイアントキリング【日本代表が対戦する「サッカー大国」アメリカ】(2)の画像
アメリカには豊かなサッカーの歴史がある 写真:AP/アフロ

 日本代表はワールドカップに向けての準備として、9月にアメリカ代表と対戦する。スポーツ大国アメリカは、サッカーにおいても世界的な強国である。日本代表にとって素晴らしいテストマッチの相手となるアメリカを、サッカージャーナリスト・大住良之が掘り下げる。

■1920年代のサッカーの隆盛

 1904年にFIFAが誕生。アメリカも加盟を希望したが、国内にいくつものサッカー統括団体があり、それぞれがFIFAへの加盟を申請したことで、なかなか認められなかった。ようやく1913年に全米のサッカーを管轄する組織「ユナイテッド・ステーツ・フットボール・アソシエ-ション(USFA)=現在の名称はユナイテッド・ステーツ・サッカー・フェデレーション(USSF)」がつくられ、この年のFIFA総会で加盟が認められた。

 第一次世界大戦(1914~1918年)後の1920年代、アメリカでは欧州からの移民が急増し、サッカーの人気が急速に盛り上がった。1922年に最初のプロリーグ(ASL)が結成され、イングランドやスコットランドなどから元プロ選手たちが続々とやってきた。こうした選手たちを中心につくった「アメリカ代表」が、1930年のワールドカップで3位という好成績を残すのである。

 しかし第二次世界大戦後、軍事面だけでなく経済面でも世界のリーダーとなったアメリカにあって、「アメリカ的なもの」が熱愛されるようになると、サッカーの運命は大きく変わる。スポーツ界も「アメリカ的スポーツ」が巨大な人気を占めるようになり、サッカー人気は完全に廃れてしまう。代表選手の大半は、他に職業をもつパートタイムプロとしてプレーを続ける以外になかった。

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