ゴールこそは、サッカーにおける最高の瞬間である。だからこそ、得点した選手は喜びを爆発させる。一方で、サッカージャーナリスト・大住良之が懸念を指摘するのは、ストライカーたちの、ある「ふるまい」だ。ストライカーを弱らせる「パフォーマンス」とは。
■韓国代表が見せていた弱さ
1970年代、日本代表対して韓国代表が圧倒的に強かった時代、それでも接戦になるのは、決まって韓国代表の「決定力」がとても低いからだった。日本を振り回し、繰り返し決定的なチャンスをつくるのだが、シュートが高く浮いてしまったり、GKの正面をついたり…。そうしたとき、韓国の選手たちは、ものすごく大げさに頭を抱えたり、大声を上げて両手で顔を覆ったりした。それを見ながら、私は、「韓国の選手があの習慣をやめたら、もっと決定力が上がるのに」と、なんとなく思ったものだ。
もしかしたら、韓国の選手たちは、大きなチャンスに失敗してしまったことを、大げさなジェスチャーを通じて「自分は大いに恥じている」と、ファン(あるいは国民)に示したかったのかもしれない。Jリーグのチームが、どんな内容の試合であっても、負けたらサポーターに頭を下げるのと同じ行動である。いずれにしても、不要なことであり、「百害あって一利なし」である。
ところがそのときの韓国選手の大げさなジェスチャーが、いまは「世界的な潮流」となっている。テレビ中継のアナウンサーは「悔しがっている」などと表現するが、見当違いもはなはだしい。選手たちは「大きな失敗をした」という事実に向き合うことをせず、外界との接触を遮断して、一瞬かもしれないがその事実から逃げようとしているのだ。