2022年のJリーグ開幕が迫ってきた。各チームは初戦に向けて仕上げに入っていこうとしている。
目標を達成するには、明確なゴールの設定と、そこに至る道筋の逆算が必要だ。開幕戦は確かに大事だが、リーグ戦の1試合に過ぎず、その後もチームの歩みを止めないことが肝要だ。
ぶれなく前進するために必要なJ1の各チームが追いかける「理想」と、そこにたどり着くための道のりを探る。
■次々生まれる「クラブ史上初」
FC東京は、新時代に入ろうとしている。いや、入らなければならない。
経営母体が変わった。株式会社ミクシィが、クラブの経営権を取得したのだ。
ピッチ内も変わろうとしている。昨季終盤まで率いた長谷川健太監督によるサイクルが終わり、アルベル・プッチ・オルトネダ監督が指揮を執る。スペインサッカーを愛する原博美監督に率いられたことはあったが、スペイン人指揮官を招くのはクラブ史上初となる。
ピッチ内には変化が求められており、その兆しは見えている。今季のFC東京には、新しい「幹」が生まれるかもしれない。
まず、ゴール前にはヤクブ・スウォビィクが立つだろう。かつてセルビア人のブラダ・アブラモフが所属したが、クラブ史上初めて外国籍選手として正GKになるだろう。J2降格に必死に抗うように、ベガルタ仙台でいくつもの好セーブを見せてきた。仙台時代ほどに見せ場が多くならないことがベターだが、大きな安心感を仲間に与えることだろう。
最終ラインの中央も、このオフに迎えたエンリケ・トレヴィザンと木本恭生のCBコンビに任せられる。渡辺剛はヨーロッパへと旅立ったが、十分に絶対のコンビとして任せられる2人だ。
最前線には、4年連続でチーム最多得点をマークしているディエゴ・オリヴェイラが君臨するが、その王座にも揺さぶりが必要だ。挑戦者の候補筆頭は山下敬大。大学卒業後、J2で3シーズンを過ごしたが、J1初挑戦となった昨季にサガン鳥栖でリーグ戦9得点。いまこそ突き抜けるチャンスであり、そのブレイクスルーはチームをも一段階引き上げる。