■鬼木監督と脇坂が共有していた部分
その指揮官が、この試合で足りなかった部分についても説明している。その一つが、仕掛けの部分だ。
「相手を見ながらどこが空いているかを見て、思い切ったプレーが少なかった」
さらに、「今日のような前からプレスに来る相手に対したとき、ブロックを作る相手のときとでは、相手を動かさないといけない。そのために必要な、背後へのランニングが少なかった。アクションを起こして、“人を動かす”“スペースを取りにいく”ということがもっと必要」とも話した。相手を動かす部分では、たしかに昨季の川崎と比べても物足りない部分だった。
ここについては、チームとしてもイメージを共有している部分で、脇坂も「シュートに持っていくために“相手をどう動かすか”というところ。強い動きをする人と止まる人と、というところ」と強調している。
鬼木監督は、それを解決するために、後半開始から「背後への仕掛けというものがある。そこを1つの突破口にしたい」と、マルシーニョを投入した。チャナティップとマルシーニョは同じドリブラーではあるが、そのもたらす部分と得意なエリアは異なるため、そこをチームとして昇華していく必要があるだろう。
加えて、大島僚太、脇坂泰斗、ジョアン・シミッチという中盤の構成で挑んだ試合は、昨年7月のJ1リーグ清水戦のわずかに1度しかない。川崎は、新しいチームを構築する途上といえる。