リーガエスパニョーラで、首位を快走しているのはレアル・マドリードだ。カルロ・アンチェロッティ監督の就任で安定感を取り戻したレアル・マドリードは、第18節終了時点で勝ち点43を積み上げて順位表のトップに立っている。
一方、苦しんでいるのがバルセロナである。今季途中にロナルド・クーマン前監督が成績不振で解任され、シャビ・エルナンデス監督が就任した。だが調子は簡単には上向かず、現在8位に位置している。
なぜ、シーズン折り返しを前にして、勝ち点16ポイントという差ができてしまったのかーー。リーガにおいて、長く「2強」と称されてきたスペインの名門2クラブの光と影を検証する。
■実績重視の「保守的」アンチェロッティ
現在、カルロ・アンチェロッティ監督は、レアル・マドリードを再生へと導いていると言える。一方で新指揮官の課題を挙げるとするなら、「保守的」だという点だろう。
とりわけ、トニ・クロース(31歳)、ルカ・モドリッチ(36歳)、カゼミーロ(29歳)の中盤の3選手に関して、アンチェロッティは変更を頑なに拒んできた。
この夏に移籍金3100万ユーロ(約40億円)で獲得したエドゥアルド・カマヴィンガ、近年台頭してきているフェデリコ・バルベルデと、若くて有能な選手はほかにもいる。それでもアンチェロッティは中盤の盤石性を崩そうとしない。
無論、理由がないわけではない。レアル・マドリードは今夏、セルヒオ・ラモスとラファエル・ヴァランを放出した。レギュラーのCBが一気に2枚抜けた状況から、アンチェロッティはチームビルディングを行う必要があった。コンスタントに好パフォーマンスを披露する選手を固定するのは論理的であり、下地を維持した上でダビド・アラバとエデル・ミリトンの新たなCBコンビを確立させた。
だがカマヴィンガやバルベルデというヤングプレーヤーに加え、レアル・マドリードにはアントニオ・ブランコ、マルヴィン・パーク、セルヒオ・アリーバス、ミゲル・グティエレスと、クラブの未来を照らすカンテラーノが控えている。彼らにプレータイムを与えられなければ、“未来”という意味で雲行きが怪しくなる。
レアル・マドリードというクラブがそういうクラブなのだ、と言えばそれまでだ。もともと、トップチームに引き上げてからも、金の卵を大事に育成していく時期を設けるようなクラブではない。とにかく、大事なのは結果を残す選手。そのスタンスが、世界屈指の名門をつくり上げてきた。
無論、指揮官に求められるのも結果である。今、この瞬間には好調が続いている。ただし、アンチェロッティが来季以降もチームを預かり続けるのであれば、30代の主力に頼り続けるのみならず、若手の育成とのバランスも求められてくるだろう。