2022年にはワールドカップ・カタール大会が開催される。世界最大のスポーツイベントだが、すでに単なるサッカー最強国を決める大会にはとどまらなくなっている。続伸するその勢いはとどまるところを知らず、ついには自らをも飲み込もうとしている。
■サッカーの首を絞めているFIFA
FIFAは2002年ワールドカップ以後急激に巨大資金を手にするようになり、そうしたなかでジョアン・ブラッター会長を筆頭にした役員の汚職やスキャンダルまみれの体質が生まれた。2015年にブラッター体制が崩壊し、ジャンニ・インファンティーノが会長を引き継いだ後も、カネ儲けとUEFAとの主導権争いに身をやつす体質にまったく変化はなく、インファンティーノ会長は、いま、FIFAだけでなく世界のサッカーにとって非常に大きな宝物であるワールドカップの首を、みずから絞めようとしているのである。
1930年、FIFA加盟国がまだ45に過ぎなかった時代に原則16チームの大会として始められたワールドカップ。1982年、加盟国が150を超えた時点での大会の拡大は必然的なものだった。「24」というチーム数は不公平や魅力のない試合を増やす結果となったが、1998年に32チームに増やしたことで大会は再び引き締まったものとなり、ファンを増やした。
だが同時に、入場券の金額は1994年のアメリカ大会を機に急騰し、有料放送でしか大会を見ることができないという、「大衆のスポーツ」に本来あってはならない形が当たり前になりつつある。