後藤健生の「蹴球放浪記」第81回「スティールドラムの君が代」の巻(1)「9・11同時多発テロが起きた日に」の画像
U-17世界選手権のADカード。この中に、あるレアなものが隠されている 提供:後藤健生
■【画像】アルゼンチンに棲む飛べない鳥「レア」が描かれた、2001年ワールドユース・アルゼンチン大会のAD

 サッカーあるところ、蹴球放浪家・後藤健生あり。カリブ海での若者たちの世界大会にも、馳せ参じた。かの地では、日本とは大きく異なる文化が待ち受けていた。

「スティールドラム」という楽器をご存じでしょうか? 「スティールパン」とも言います。「スティール」とは鋼鉄のこと。中央が丸く凹んだ鋼鉄の板を叩いてさまざまな音を出す打楽器の一つです。

 この楽器が生まれたのは、カリブ海南部に浮かぶトリニダード・トバゴという国でした。

 イタリア・ジェノヴァ出身のクリストファー・コロンブス(イタリア語名クリストフォロ・コロンボ)によって発見されたトリニダード島とトバゴ島。その後、いろいろな国に支配されてきましたが、19世紀の初めに英国領になりました。その間に砂糖やコーヒー農園で働かせるためにアフリカから多くの奴隷たちが送り込まれ、今でもアフリカ系黒人が多い国です。

 最終的にこの島国を支配することになった英国人は、黒人たちがドラムを叩くことを禁止してしまいました。ドラムはもちろん楽器ですが、ドラムによってコミュニケーションを取ることも可能なので、英国人はそれを恐れたのでしょう。

PHOTO GALLERY ■【画像】アルゼンチンに棲む飛べない鳥「レア」が描かれた、2001年ワールドユース・アルゼンチン大会のAD
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