■空港で聞いた驚きの一報
とにかく、ドラムを叩く楽しみを奪われた黒人たちは、さまざまなもので代用しました。そして、1939年にウィンストン・スプリー・サイモンという人が鋼鉄製のドラム缶を叩くと、叩く位置によって音が違っていることに気づき、さまざまな改良を経て楽器として進化していきました。20世紀に入ると、トリニダード・トバゴでは石油やガスが採掘されるようになっていたので、ドラム缶は至る所に転がっていたのです。
これが、スティールドラム(またはスティールパン)という楽器です。
今でも、使用済のドラム缶を加工して作られているようですが、最初から楽器用に作られる場合もあるそうです。いずれにしても、丸いドラム缶の蓋の部分を凹ませて、音階を調整するのはかなりの職人芸が必要なんだそうです。
さて、トリニダード・トバゴでは2001年9月にUー17世界選手権(現Uー17ワールドカップ)が開催されました。
僕はロンドンのヒースロー空港からトリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインに向かったのですが、飛行機が大西洋上を飛んでいる最中にアメリカ・ニューヨークの貿易センタービルにハイジャックされた旅客機が突っ込んで同ビルが崩落。3000人以上が犠牲になりました。「9・11同時多発テロ」です。この事件がジョージ・W・ブッシュ大統領(息子)が対テロ戦争やアフガン戦争を始めるきっかけになりました。