9月14日と15日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16の結果、東地区では韓国の3チームがベスト8入り。日本から残ったのは大邱(テグ)FCを破った名古屋グランパスのみとなった。
さて、蔚山と川崎がともにミスを犯さないままハイレベルのスコアレスドローを演じた一方、日韓対決のうち日本のクラブがホームに韓国チームを迎えた2試合は、前後半ですっかり流れが変り、双方にミスが起こるという、いわゆる“出入りの激しい”ゲームとなった。
幸い、僕もこの2試合はスタジアムで実際に観戦することができたので、「日韓対決の勝負を分けたものとは何だったか」という視点に立って振り返ってみたい。
まず、豊田スタジアムで行われた名古屋と大邱の試合は、前半の15分頃以降はほぼ名古屋がゲームを支配していた。そのことを考えれば、名古屋の勝利は順当なものだったが、名古屋は前半に守備のミスから大邱に2つのゴールを許してしまい、逆転勝利のためにはヤクブ・シュヴィルツォクという「個の力」に頼るしかなかった。
2021年のJ1リーグでは18試合で無失点という新記録を達成するなど、堅守を誇る名古屋らしくないゲームと言うべきだろう。
4分の最初の失点は、名古屋から見て右サイドのスローインからつながれて、最後はセシーニャに約30メートルのシュートを決められたもの。DFの金眠泰(キムミンテ)の踵に当たってわずかにコースが変わるという不運もあったが、地を這うような強烈なシュートは相手を褒めるしかない。
だが、問題はセシーニャにパスが渡った瞬間に誰もプレッシャーをかけることができず、フリーでシュートを撃たせてしまったことだ。セシーニャが警戒を要する選手であることは当然、事前に分かっていたはずだ。
その後、12分に左サイドでワンタッチのパスをつなぐ見事な攻撃からシュヴィルツォクが同点ゴールを決めたのだが、名古屋は28分に再び勝ち越しを許してしまう。大邱にセカンドボールを拾われ、左サイドから相手のDF鄭泰昱(チョン・テウク)が上げてきた何でもないクロスだった。落下地点には中谷進之介がいたのだが、後ろからFWのエジガルに体をねじ込まれてヘディングを許してしまったのだ。
2点とも、実にあっけない、名古屋らしくない失点だった。