完敗だった。
降り続いた雨でピッチにはかなり水が溜まっていたが、それはお互いさまだ。
日本にチャンスがなかったわけではないが、オマーンの速いカウンターにあっという間にゴール前まで攻め込まれるという状況が目立った。
パスを奪われて持っていかれてしまう。ああ、またか。ああ、まただ、というシーンが続いた。
今までのオマーンとはかなり違った。オマーンは別のチームのように進歩していた。
最後は88分、サラー・サイド・アル・ヤヒアエイのクロスから2番をつけたFWイサム・アブダラ・アル・サビに巧みに決められてしまった。
ブランコ・イバンコビッチ監督(クロアチア)は興奮していた。キャプテンのGKファイズ・アル・ルシェイディをしっかりと抱きしめた。
「日本を驚かせようと選手たちに話していた。私はオマーンの監督をやるのが楽しい。オマーンが日本に初めて勝ったんだ」
イバンコビッチ監督はオマーンの歴史的勝利に興奮気味だった。
1か月のセルビアでの合宿は功を奏した。
「ハイ・プレスに日本の選手はびっくりしたと思う。日本がどういう試合をするか、研究した。どのチームにも弱点はある。日本は私たちのスタイルにソル―ションを見つけることができなかった」
オマーンは90分間試合をコントロールした。組織的なサッカーで日本を上回った。
過去12試合の対戦成績はあくまでも過去のものであることを実感した。
13戦目、ついにオマーンは日本に勝った。
吉田麻也は「負けるべくして負けた」と語った。