オランダ代表GKの背中には「8」

 だが、どんなに自由な時代になっても、冒しがたい「聖域」はある。「1番」である。ワールドカップをはじめとした現在の国際サッカー連盟(FIFA)の大会では、1番をつけるのはGKだけと決められている。Jリーグの「ユニホーム要項」では、「1をゴールキーパー、2〜11をフィールドプレーヤーとする」と、さらに規制が大きくなる。「0」は不可である。ちなみにJリーグでは背番号とは言わず、「選手番号」と呼んでいる。

 すなわちJリーグでは、1番はGKであり、2〜11番はGKではないということになる。ベルギー時代にメキシコ代表GKギジェルモ・オチョア(メキシコ)が与えられた「8番」も、Jリーグではありえないことになる。そして背番号1のフィールドプレーヤーも、現在のワールドカップやJリーグでは見ることができない。

 だがかつてはそんな規則はなかった。実際、ワールドカップでは、フィールドプレーヤーが1番をつけ、GKが8番をつけていたこともあった。

 1974年のワールドカップ西ドイツ大会で「トータルフットボール」を引っ提げて世界を驚嘆させたオランダ代表。そのGKは、自在にペナルティーエリアを飛び出してビルドアップに加わり、当時としては驚くべきプレーを見せたヤン・ヨングブロートだった。彼の背中には8番があった。

第3回につづく
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