■巨額の建築費が投じられた大規模施設の行方は?

 大住良之さんも喝破されたように、オリンピックはIOCにとっては開催さえすれば巨額の放映権料やスポンサー料が転がり込んでくる「金の卵を産む鶏」なのだが、開催都市にとっては負担があまりにも大きな大会となっている。

 象徴的によく引き合いに出されるのは、2004年にオリンピックのためにギリシャのアテネに建設された野球場だ。

 ギリシャでは、野球というスポーツはほとんど行われていない(ヨーロッパで野球が盛んなのはイタリアとオランダで、あのヨハン・クライフも少年時代は捕手として活躍していた)。そのギリシャの首都アテネに建設された野球場。当然、「後利用」はできず、また野球場というのはかなり特殊な形状をしているために、他競技のスタジアムとして転用することが難しく、結局は廃棄されてしまった(2000年のシドニー大会では、野球場はオリンピック終了後はクリケット場として活用された)。

 直近の2016年大会が開かれたブラジルのリオデジャネイロでも、建設された多くの施設がそのまま放置されていると聞く。

 2021年の東京大会でも、たとえばカヌーやボートの会場として江東区の埋立地(海上)に「海の森水上競技場」が建設されたが、大会終了後にもうまく活用されてカヌー競技やボート競技の振興につながるといいのだが、もし活用できなければ巨額の維持費がかかるだけの施設になってしまう。

 そして、何よりもメイン会場の新国立競技場の「後利用」が決まっていない……。 

※第3回につづく
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