■ウェールズを困惑させ形勢逆転

 ウェールズの困惑は1点目のシーンにも表れた。

 クリステンセンを使わずに前から選手が下りてきてパスを回す、ということをダイレクトプレーを交えながら30秒以上繰り返したデンマークに対し、ウェールズの選手たちは食いつくべきか食いつかないべきかを決められずに少しずつ全体が前に出てきた。ウェールズの最終ラインと中盤の間が広がり、デンマークは縦のパスで一気にそこへボールを進めた。

 急いで戻ってきたMFたちが守備に駆け回り、DFはコースを切ることに努めたが、後手後手になった守備はスペースを次々と生んでしまった。そしてペナルティエリア手前から放たれたシュートがゴール右隅に決まった。最終的にはゴールキーパーから見てボールまでに3人が重なっている形で、反応したものの間に合わなかった。

 クリステンセンを使わないなら放っておけばいいのではないか、と思うが、アンカーというライン間で中央のポジションにいる選手のことを無視するわけにはいかない。クリステンセンもそれを逆手に取り、ホイビュアらが下りてくると彼らがもともといた場所へ上がって相手を引きつける。しかし結局そこは使われない。試合全体で記録された彼のパス数はたった23本だ。ウェールズはさぞ困っただろう。

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