後藤健生の「蹴球放浪記」連載第63回「キルギスのイシククル湖を見に行く」の巻(2)日本とは違う「湖畔」の画像
2021年6月15日に日本代表と対戦したキルギス代表 写真/JFA
全ての写真を見る

※第1回はこちらから

恋人よ、人はなぜ、まだ見ぬ地への憧れを抱くのであろうか。――こんなことをつぶやいているかどうかは知らないが、今日もまた放浪するサッカージャーナリストは、サッカー観戦にかこつけてはせっせと世界地図の未踏の地を塗りつぶしにあちこちのスタジアムへと出かけていくのであった。

■三蔵法師や孫悟空の通った道

 首都ビシュケクももちろん見物しましたが、四半世紀が経過した今、何を見たのかほとんど記憶がありません。ただ、街の中心にある大統領官邸の巨大さと荒れ果てたナショナルスタジアムだけが鮮明に記憶に残っています。

 さて、キルギスでぜひ行ってみたいところがありました。それが、イシククル湖です。

 出発前に英語のガイドブックを読んでいたら、こんなことが書いてあったのです。
「イシククル湖周辺はかつては完全な統制地域で外国人は絶対に近づくことができなかった。というのも湖には潜水艦や魚雷などを開発するソ連海軍の研究所やソ連政府要人用の保養施設(サナトリウム)があったからだ」、と。

 そのイシククル湖も、ソ連崩壊=キルギス独立後は外国人でも自由に行くことができるようになっているそうです。「そりゃ、行くっきゃない」と僕は思ったわけです。

 イシククル湖は山の中の湖で表面の標高が1607メートル。南米ペルーとボリビア国境にあるティティカカ湖に次ぐ標高の高い大きな湖です。また、湖の深さは668メートもあって、世界で7番目に深いんだそうです。だからこそ、ソ連海軍が研究所を設置したのでしょう。そして、ここに研究所を設置したのは、ソ連の中でも最も内陸部にあるキルギスには西側の人間が容易に近づけなかったからでもあります(現在も、ロシア海軍の研究施設が存在しているそうです)。

 遠い昔には三蔵法師が天竺に向かう途中、この湖の湖畔の道を通ったとも言われていますし、モンゴルの軍勢が野営したとも言われています。

 さて、ホテルで聞くと「バスに乗ればいいんちゃう?」というので、僕はビシュケク中心部にあるバス・ターミナルに行ってみました。すると、ターミナルの入口前にミニバスが並んでいて運転手が大声で行き先を注げています。

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2