■「チョルポンアタァ!、チョルポンアタァ!」

「チョルポンアタァ!、チョルポンアタァ!」と叫んでいるミニバス(ロシア語で「マルシェルートカ」)が停まっていました。チョルポンアタはイシククル湖北岸の、かつての要人用のサナトリウムがあったという人口1万人の町です。ミニバスは客の人数がそろうとすぐに発車しますから、こちらの方が早く着けるでしょう。運賃は60ソムでした(当時のレートで50円ほど)。

 こうして、僕はミニバスに揺られて湖を目指したというわけです。

 しかし、道路は湖から離れたところを通っているのでなかなかお目当ての湖を眺めることはできませんでした。チョルポンアタに着いて、ようやく湖は見えましたが、これも期待外れでした。

 日本人は「湖畔」というと対岸に美しい山が見えて、新緑や紅葉で飾られたそんな美しい風景を思い浮かべてしまいます。しかし、イシククル湖は面積が琵琶湖の9倍、東西180キロ、南北60キロのラグビーボール型をした湖ですから、チョルポンアタから対岸は見えません。つまり、普通の海みたいなものなのです。

 もうサナトリウムも閉鎖されてしまって温泉などもありませんでした。それで、寂れ切ったチョルポンアタで昼食をとってから、僕は再びミニバスに乗ってビシュケクに戻ってきたというわけです(最近は観光開発もされているそうですが)。

 チョルポンアタを訪れた翌日、僕は飛行機でウズベキスタンの首都タシケントに向かいました。巨大なマナス空港では、なかなか面白い体験をしたものですが、その話はまた次回にでも……。

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