大住良之の「この世界のコーナーエリアから」連載第62回「サッカーか、フットボールか」(2)慶應はなぜ『ソッカー部』なのかの画像
まさに足のスポーツ 撮影/中地拓也
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本誌を創刊したときのエピソードだ。一部に、なぜ「サッカー批評」なのか、なぜ「フットボール批評」じゃないのか、という意見があった。このスポーツの本名は「フットボール」なんじゃないの、世界では「フットボール」をプレーしているんじゃないか、と。しかし、日本ではこのスポーツは「サッカー」なんだと一蹴された。見識である。きわめて正しい。サッカーは、このスポーツの日本語での正式名称なのである。

■「SOCCER」の発音

 しかし「soccer」という言葉自体は、JFA設立前には日本にも伝わっていた。「出島」の時代ではないものの、今日のように海外からの情報があふれている時代ではない。当時の選手たちは高額をはたいて洋書を購入し、競技とその技術を学んでいた。そうした本のひとつに、『HOW TO PLAY SOCCER』という本があった。「SOCCER」がアソシエーション・フットボールのことであることはわかったが、どう発音していいかわからなかった。

 しかし1918年(大正7年)、関西のあるサッカー関係者に、アメリカ留学から帰ってきた人が「サッカーと発音するのが正しい」と教えた。その関係者は、新しくつくったばかりのチームに「大阪サッカー倶楽部」と命名し、その後「サッカー」という言葉が全国に広まったという。この話は、JFAの機関誌『サッカー』の1966年11月号に田辺五兵衛氏が紹介している。

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