大住良之の「この世界のコーナーエリアから」連載第61回「サッカーからヘディングがなくなったら」(3)変わるものと変わらないものの画像
第3の得点源となってきたヘッドは… 撮影/中地拓也
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日本代表FWの巻誠一郎は「利き足は頭です」と語った。足元は不器用だったが、腰より下の低いクロスもヘディングでゴールに叩き込み、名将イビチャ・オシムに愛された。同じく岡崎慎司の座右の銘は「一生ダイビングヘッド」。プレミアリーグ優勝を遂げたレスターシティーFCでの入団初得点もダイビングヘッドによるゴールだった。しかし、ヘディングが脳に与えるダメージが医学界からたびたび指摘されるようになっている。サッカー側もこの問題と向き合う覚悟を決めなければならない。ヘディングのないサッカー……。ありえる? ありえない?

■サッカーはこう変わるだろう

 こんなルールにしたら、サッカーはどうなるのだろうか。

 私は、本質的にはあまり変わらないのではないかと思っている。クロスやCKを受けて直接ヘディングでは得点できないから、チームはよりパスをつなぎ、相手守備を破って足でのシュートを試みるだろう。もしかしたら、これまでと同じような相手越しの浮き球のボールを入れて長身選手が手でボールを止め、すばやく足で味方に渡してシュートさせようとしたり、後ろ向きに止めて振り向きざまのシュートを試みるかもしれない。

 中盤で浮き球がきたら、多くの選手一歩下がって足や胸でコントロールしたり、ワンタッチで味方に渡そうとするだろう。近くに相手選手がいる場合には、とにかく手で後ろ向きに叩き落とし、それから急反転で相手を抜いてドリブル突破にかかるというようなプレーにチャレンジするかもしれない。

 相手陣から大きなクリアボールがきたら、守備側の選手はジャンプして手で止め、反転しながら味方ゴールに向かってボールを落として着地し、GKを含めた味方選手にパスしてボールを展開していくだろう。

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