■空気を変えた小柏のドリブル
前半のかなり早い段階から引き分けの気配が漂った試合だったが、55分にコンサドーレの小柏剛が投入されると空気は一変した。
両チームが守備に追われる試合展開がひたすら続くことになったのは、中盤の守備が双方激しく局面ごとに五分五分だったことで互いのウイングバックのスタート位置が低くなったことが大きな要因だった。
ウイングバックが低い位置にいたことで攻撃の迫力が不足していたコンサドーレは、小柏が左ウイングバックに入り、自陣から1人で長い距離をドリブルして押し込んでくることでようやくそれを解消した。攻撃3・守備7になっていた部分が攻撃7・守備3になったかのようだった。
田中聡や舘幸希に止められる場面もあったが、止められても次にボールを持てば再びどんどん前へと進んでくる小柏は、35+4分間でチームトップの21回ものスプリントを記録して起爆剤としての役割を存分に果たし、停滞していたスタジアムの空気をも変えた。
この試合ではウイングバックとして試合展開を変化させてみせた小柏だが、その存在感は、もっと前のポジションでそのプレーを見たい、と思わせるものだった。
そのスピードと積極さがよりゴールに近いシャドーのポジションで活かされ、大学時代のようにフィニッシャーとして躍動する姿を期待せずにはいられない。この試合の中でそうだったように、3勝3分5敗とスタートダッシュに失敗してしまったコンサドーレの起爆剤になってくれるだろう。
■試合結果
湘南ベルマーレ 0―0 北海道コンサドーレ札幌