■豊田詣での御勧め順路でげす
東京から豊田まで行くのに最も便利なのは東海道新幹線で豊橋か名古屋まで行って、そこから名鉄線や名古屋地下鉄を利用する方法でしょう。
新幹線というのはたしかに便利な乗り物です。あれほどの高速鉄道が5分に1本といった頻度で走っているのですから。しかし、運賃・料金があまりにも高すぎます。金券ショップで買ったとしても豊橋までで8000円近くします。それに名鉄や地下鉄代などを加えれば、往復で2万円ほどになってしまいます。
この「蹴球放浪記」をお読みの方はお分かりのように、サッカー・ジャーナリストは旅行が仕事のようなものです。しかも、昨今は頂戴できる原稿料の単価が非常に安くなってしまっているので、フリーランスの身にとっては旅費をどうやって節約するかが大問題になります。たとえば、4月29日にはJ1リーグで首位を走る川崎フロンターレと勝点3の差で追走する2位の名古屋グランパスとの直接対決2連戦の「ファーストレグ」が豊田スタジアムで行われましたが、Jリーグの原稿だけで2万円稼ぐのは容易ではありません。
そこで、高速バスを使うことになります。JRのバスならだいたい4000円程度。夜行バスなんかではもっと安いバスが走っています。
最初は高速バスで名古屋まで行ってから、地下鉄で豊田まで行ってました。しかし、高速を下りてから名古屋市内に向かうと渋滞があって、ここで時間をロスしてしまうのです。
そこで、名古屋まで行かずに「東名豊田」という停留所で下りてみたこともありました。ところが、そこからスタジアムがある豊田市内まで行くのが大変でした。路線バスもありますが、その停留所までが遠いのです。近辺に住んでいる人は多分誰でも自動車を持っているのでしょう。なにしろ、トヨタ自動車の工場が目の前にあるのですから「地産地消」というわけです。
で、「何か良い方法はないか」と悩んでいたら、ある時、東名高速道路の脇を名鉄の線路が走っているのを見つけたのです。地図を見ると豊橋から名古屋を経て岐阜まで行く名鉄本線の線路でした。そして、「東名本宿」という高速バスの停留所のすぐそばに「本宿駅」という駅があることを発見しました。高速バスを降りて5分も歩かないで名鉄の駅に着くのです。
それ以来、僕は豊田スタジアムに行くときはいつも本宿経由で行くことにしています。
ちなみに、明治時代の初めに鉄道(東海道線)が建設されるとき、最初は江戸時代の東海道沿いに線路を敷設しようとしたらしいのですが、豊橋から赤坂などを抜けるルートは上り坂なので当時の鉄道技術では越えられなかったようで、東海道線は傾斜の緩い蒲郡経由になったのです(名鉄本線が開通した1920年代には技術の進歩によって坂道も登れるようになっていました)。
さて、本宿はたしかに東海道(現在の国道1号線)が通っていますが、昔の街並みが残っているわけでもありません。見どころといえば、法蔵寺という古い大きなお寺くらいなものでしょうか。岡崎城で生まれた徳川家康はまだ「竹千代」と名乗っていた子供時代に叔父であるこの寺の住職から手習い(つまり、習字)を習っていたらしく、その時の硯などが残っているそうです。そして、どういうわけか、この寺には近藤勇(新選組組長)の「首塚」があります。
というわけで、雨の中、名古屋対川崎戦を見に行ってきました。もちろん本宿経由で。