■見えてきた東京オリンピックの構想

 菅澤と岩渕が攻撃の中心であることが明らかになった以外にも、2試合の選手起用を見ると高倉監督の構想はほぼ明らかになったようである。

 男子のUー24代表の方は、3月に行われたアルゼンチン戦では北九州での2戦目の先発メンバーが初戦から9人も代わっていた。つまり、Uー24代表の編成はまだまだ未確定なのだ。海外組がどこまで招集できるのかは今後の交渉によるし、オーバーエイジをどうするのかも含めて未知数の部分が大きい。

 それに対して、女子代表の方は高倉監督はすでにほとんどのメンバー構成を決めているように見える。

 女子の場合は、オリンピックにもフル代表が参加するのでオーバーエイジの問題もないし、高倉監督就任以来すでに5年が経過しており、その間にはワールドカップも経験しているので男子のUー24代表と比べて完成度が高いのは当然のことだ。

 高倉監督は、DF陣ではこれまでFWとしてプレーすることが多かった宝田沙織を2試合ともセンターバックとして先発フル出場させている。正確なロングボールが供給できる大型CBとして期待しており、2試合フル出場させることによって新しいポジションに慣れさせておこうという思惑だったのだろう。

 つまり、CBは、これまでこのポジションを任されてきた熊谷紗希(今回は、所属クラブが招集拒否)と南萌華に宝田を加えた布陣でオリンピックも挑むことになるのだろう。

 その他のポジションでは、これまでサイドハーフとして起用されることが多かった中島依美が2試合ともボランチでフル出場している。

 クラブ(INAC神戸レオネッサ)でもボランチでプレーする機会が増えている中島を、代表でもボランチで起用しようという意図があり、こちらも新しいポジションで2試合プレーさせることでチームを作ろうとしたのであろう(同じくI神戸の杉田は、2試合ともサイドで起用された)。

 こうして、CBの3人と中島と三浦成美のボランチ、そして菅澤と岩渕のFWというセンターラインはすでに固定され、これにサイドアタッカーの長谷川唯あたりは先発が確実。その他のサイドのポジションで先発の座を巡っての競争が激化していくのだろう。

※第2回につづく

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