シャビの言う通り、勝利のために、必要なのはタレントだ。
ただ、焦点を当てなければいけないのはそのタレントを如何にして手にするかだ。シャビ、イニエスタ、メッシをバルセロナはカンテラ(育成組織)で発掘・成長させた。それが、のちのバルセロナとスペイン代表の成功に繋がった。
今季、チャンピオンズリーグのベスト8に残ったのがレアル・マドリーのみで、衰退が指摘されているスペインだが、この数年手を拱いていたわけではない。マドリーはヴィニシウス・ジュニオール(移籍金4500万ユーロ/約57億円)やロドリゴ・ゴエス(移籍金4500万ユーロ/約57億円)を、アトレティコ・マドリーはジョアン・フェリックス(移籍金1億2700万ユーロ/約162億円)を、バルセロナはペドリ・ゴンサレス(移籍金500万ユーロ/約7億円)やアンス・ファティ(カンテラ出身)を未来のために確保している。
だが恐るべきは、ムバッペとハーランドが置かれている状況とキャリアだ。ムバッペに関しては、パリ・サンジェルマンに所属している。カタール投資庁の子会社であるカタール・スポーツ・インベストメント (QSI) が筆頭株主であるパリ・サンジェルマンは実質上の国家クラブである。
端的に言えば、パリSGがお金に困ることはない。前時代的な感覚で、例えばマドリーやマンチェスター・ユナイテッドが大金をはたいてムバッペを獲得するという構図は成り立たない。ハーランドに於いては、彼のキャリアに目を向ける必要がある。つまりドルトムントではなく、ザルツブルクだ。レッドブル・グループの傘下であるザルツブルクはライプツィヒ、ニューヨーク・レッドブル、ブラガンチーノといったクラブと連携しながら選手と監督の人材育成に流動性をもたらしている。また、大企業がバックについたザルツブルクはパリSGと同様に資金難に陥ることはない。そういった土壌からハーランドのような選手が出てきたのだ。