■ひとつのアシストがすべてのプレーを輝かせる

 1点ビハインドの60分、右サイドで縦に仕掛けた久保がグラウンダーのパスを入れると、エネス・ウナルがゴールを奪った。「前半に惜しいドリブル突破を見せたが主審の笛は鳴らなかった」や「後半に直接フリーキックを枠内に飛ばしたが惜しくも弾かれた」ということは、今の久保の状況では何の意味も持たない。

 チームの勝利に貢献する「ゴールとアシスト」という明確な数字が伴わなければ、良いプレーを見せたとしても、何もなかった、というのと変わらない。

 そうした状況下で記録したアシスト。これによって、前半のドリブルのシーンも、後半のフリーキックのシーンも、67分にボルダラス監督の目の前でボールホルダーに寄せてスローインにさせたことも、全ての久保の良いプレーが「良かった」という意味を持つことになった。

 72分、交代となった久保は出迎えたボルダラス監督に笑顔を見せた。

 ようやく数字を残した久保。1月のエルチェ戦でデビューをし、今回のエルチェ戦で再スタートを切った。

 しかし、いきなり序列が回復するわけではない。今回の活躍は、今後の試合でも起用される、ということには影響するだろうが、レギュラーに戻る、守備の負担を軽減される、のようなことには決してならない。

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