■オウンゴールへの「アシスト」

 開始7分までに点を奪い合った試合で、35分のフランクフルトの勝ち越し点は相手のオウンゴールによってもたらされた。かなり長いバックパスが無人のゴールにはいるという鼻白むシーンではあったが、ここにも鎌田は関与していた。ボールを受けた相手DFに、プレッシャーをかけていたのだ。

 ただし、鎌田は足を滑らせており、その姿は相手DFにも見えていなかった。だがDFの頭には、激しく詰め寄る鎌田の姿がイメージされていたのではないか。

 開始4分、鎌田が猛然とプレッシャーをかける場面があった。しかも1人に詰め寄るだけではなく、複数の選手を経由してピッチを横断するボールを追いかけ続け、相手スローインになったものの、最後はスライディングでパスをカットしていた。その番犬のような迫力が、ウニオン・ベルリンの守備陣の頭に刷り込まれていたはず。このプレーが、オウンゴールへの「アシスト」となったと思わせるのだ。

 トップ下の位置から、鎌田はチームのための動きを繰り返していた。時には2トップを追い越して相手DFにプレッシャーをかける。相手の食らいつきを利用して低い位置まで下がり、チームメイトに最終ラインの裏への抜け出しを促す場面もあった。シュートを決め切っておきたいシーンもあったが、確かにチームを勝利に導くプレーをしていたのだ。遠藤渓太らを次々投入するウニオン・ベルリンの反撃にも、攻守にわたって貢献を続け、アディショナルタイムに入るまでピッチに立ち続けた。

 この日引き分けた5位ドルトムントとの勝ち点差を、1ポイント広げた。次節は、そのドルトムントとの直接対決だ。さらに翌週には、3位ヴォルフルブルクとの対戦が待つ。ここでしっかり勝ち点を積み上げれば、来季のチャンピオンズリーグのみならず、3位浮上もぐっと近づく。

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