【J1分析】浦和レッズ「2021シーズン最注目チーム」である理由の画像
埼玉スタジアムでの開幕戦はドロー 撮影:中地拓也

 新しい風が吹いた――。

 開幕戦の浦和レッズを見ての、率直な印象だ。

 FC東京との開幕節は引き分けに終わったが、躍動感あふれるプレーの数々は今後への期待を抱かせてくれた。

 14位、10位と優勝争いから大きく遠ざかった過去2年、浦和には閉塞感が漂っていた。結果に加えて内容も乏しく、若手も出てこない。

 アップデイトが遅れたのは、消極的な監督人事によるところが大きい。

 6年に及ぶ長期政権を築いた“ミシャ”ペトロヴィッチ監督の退任以降、浦和を率いたのは堀孝史、オズワルド・オリヴェイラ、大槻毅の3人。

 ミシャが成績不振で解任されると、コーチの堀が昇格。その堀が解任されると、今度は大槻が代行を務め、オリヴェイラにバトンをつなぐ。だがオリヴェイラ政権も、2年目の序盤に挫折。ふたたび大槻が指揮を執ることに――。

 緊急事態に代行のような形で指揮を執る指導者を、イタリアでは“渡し舟の船頭”と呼ぶ。日本代表を率いたアルベルト・ザッケローニも、ユベントスでこの役目を務めたことがある。

 渡し舟の船頭は、あくまでもつなぎ。お茶を濁すような人事が頻繁になると、現場の空気はどうしても淀む。

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