■ピルロ対コンテの戦術対決

 インテル相手には1月17日に完敗を喫したばかりだった。1stレグではなくこの2ndレグで思い切った策を見せたのは、ロメロ・ルカクとハキミという2人のキープレーヤーが1stレグでは不在だったからだ。その2人とニコラ・バレッラが揃ったこの試合だからこそ、今までにやっていなかった偽サイドバックを採用した。

 偽サイドバックによって中盤で優位に立てば、プレスをかわすことが容易になるだけでなく、バレッラとハキミを低い位置でプレーさせることができる。最終ラインから一気にルカクへボールを当てられても、スタートする位置が低ければ時間がかかり、その間に守備を整えることができる。

 ところが、単純にはいかなかった。アントニオ・コンテ監督はすぐさま反応し、ニコラ・バレッラをサンドロに付けた。インテルボールになった時にバレッラが低い位置からのプレーになってしまうが、これで偽サイドバックは機能しなくなった。

 しかし、引き分けでも0-1の敗戦でも決勝に進めるユベントスはそれでも構わなかった。対応したインテルは混乱に陥ることなく主導権を握ったが、ゴールを奪うには至らなかった。バレッラの運動量、ルカクの強さ、ハキミのスピード、という強烈な個の力によって、バレッラとルカク、ルカクとハキミ、というチャンスの作り方は度々あったが、3人ではなく2人での攻撃になっていることでユベントスはしのぎ切ることができた。

 さらに、コンテ監督は問題を解消するべくシュクリニアルを上げて左サイドに厚みをかけたが、ピルロ監督はベルナルデスキとアドリアン・ラビオをつかせて対応。その後も戦術対応の応酬は続き、試合は緊張状態のまま膠着していった。

 そしてユベントスは82分にジョルジョ・キエッリーニを投入して3センターバック(5バック)を形成し守りきることに成功、決勝進出を果たした。

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